*掲載された画像は閲覧目的でモデルさんと所属事務所、撮影会主催者に許可をいただいています。二次使用はお断りいたします。

トーンの調整…(記録されたレンジから取捨選択して再生レンジ内で表現する)


世間ではあいかわらずデジタルカメラにおける「ダイナミックレンジが…」という表現が溢れています。
もちろん、素子においてはさらなるローノイズ化と記録深度を上げて欲しいという気持ちはあります。
しかし、ほとんどの場合カメラ生成の画像においての「とび」や「つぶれ」に一喜一憂しているように思えてなりません。

そういう状況の中で、SILKYPIX Developer Studioテスト版『SAKURA』(現在は『AJISAI』となってテストが続けられています)からは「ダイナミックレンジコントローラ」という提案 が登場しました。
機能自体はトーンの調整でも同様のことは出来るはずなのですが、その際に色が出にくくなるなどの問題に対処された機能となっているようです。
「ダイナミックレンジコントローラ」搭載以前にVer.2で追い込んでいた画像がありますので、トーンの調整のそれぞれのアプローチについて羅列してみま す。

カメラオリジナル(縮小)

ウィンドウでの太陽の反射以外は特に飽和なく撮影できました。

形 式:ALPHA-7 DIGITAL
露出時間:1/2000 秒
Fナンバー:F 5.6
ISO感度:200
Exif:2.21
元の日付と時間:2005:12:25 13:26:54
デジタル化時の日付と時間:2005:12:25 13:26:54
明るさ:1871.53
露出補正:1.00
開放F値:F 4.0
測光方式:中央重点測光
光源:デイライト
フラッシュ未使用,強制非発光モード
焦点距離:10.0mm
マニュアル露出
マニュアルホワイトバランス
焦点距離[35mm換算]:15mm

SILKYPIX(R) Developer Studio AJISAI(テスト版)にて

WB 以外はデフォルトのパラメータの画像を示 します。
デフォルトのトーン(調子)は…
・ガンマで暗部と中間調が若干持ち上がる
・コントラストを若干上げている
ことから
・暗部はほぼ相殺され締まる
(ただし、SAKURAからベースカーブの変更により最暗部のトーンが起こされている)
・中間調は明るめとなる
・ハイライトも明るめとなり、ハイエストのトーンが圧縮される
(いわゆる明るい部分がとんだ感じに表現される)
・彩度も豊かに表現される

テスト版で縮小現像後、最近搭載されたアンシャープマスクをかけている生成ファイルです。
現像パラメータもそのまま埋め込まれています。




レンズ補正を実行

事前にサンプリングしたデータから作成したレンズ補正データを適用します。
「テイスト」に名前を付けて登録してあります。
シェーディングは若干オーバー気味なので後で微調整します。
ディストーションも場合によっては微調整です。
倍率色収差は撮影距離でかなり変わります。
これも必要を感じれば微調整します。
トリミング領域を拡張してありますので
ディストーション補正の様子がわかります。



デジタルシフトを実行

背景の建物に注目して上下シフトを決め顔の横方向の歪みに注目して左右シフトを決めてみます。
トリミング枠内にどこまで入るかも考慮して微調整します。
詳しくは「デ ジタルシフトの活用」のページを参照ください。


明暗二つの画像を生成しマスクを作って合成する

まず明るい方の画像から。
トーンを規定のベースカーブに合わせ、人物に合わせて露出調整します。
そして暗部が浮かない程度に「ガンマ」と「コントラスト」を微調整します。
背景の建物のまぶしい感じは出ています。
シェーディング補正は若干戻します。



暗い画像の方です。
背景の建物のトーンが充分に出るように露出調整をします。
暗部があまり沈み込まないよう「ガンマ」と「コントラスト」を微調整します。



Photoshop上で上記二つの画像をレイヤーとして、人物のみのマスクと青空部分のマスクを作成し、合成します。
実際には、明るい画像の輝度チャンネルからアルファチャンネルにコピーしたマスクも使用してレイヤーの透明度を調整することで追い込みます。



トーンカーブを使ってみる

マスクを使って合成でなく、画面全体のトーンで明暗を押し込めてみたらどうなるかと考えてトライしました。
狙った部分を狙ったレベルに…というのはトーンカーブを使うのが手っ取り早いので…最初はトーンカーブです。
トーンをベースカーブに一旦合わせてからハイエストを見ながら露出調整を上げます。
そして、トーンカーブで中間調を持ち上げ、ハイライトを圧縮します。
暗部を見ながらガンマを微調整しハイエストを見ながら露出も再度微調整します。
圧縮された(カーブが寝ている)ためにどうしても色がうすくなります(彩度を調整するという手が残ります)。
トーンカーブはRGBの値にマッピングされた後に調整されますので注意が必要です。



コントラスト中心を変更してトーンカーブ以外で

コントラストを上げてコントラスト中心を下げると中間調を明るくすることが出来ます。
また、ガンマを上げれば暗部から中間調にかけて持ち上がります。
露出調整は標準に戻して、これらのみでトーンを整えてみます。
ガンマを上げて浮いた暗部をコントラストで沈めるという感じでカット&トライで追い込みます。
やはりハイライトは圧縮されるので再現域の問題で色がうすくなります。
彩度の調整などが必要でしょう。



ダイナミックレンジコントローラを使ってみる

…それまでいろいろ試していたところ、テスト版にダイナミックレンジコントローラが搭載されました。
中間調までを明るくするためには単純に露出調整を上げるだけで良く、ハイライトコントローラー内のDR拡張レベルを上げることでハイライトが圧縮されま す。
なにより色がしっかりと乗ります。
欠点はハイエストは必ず寝たカーブになるのでその部分のディティールが失われやすいことですね。
ハイエストのカーブを起こそうとガンマを下げる方向に微調整し、コントラストとコントラスト中心もその方向で調整してみます。
カラーモードを「記憶色2」でこってりした感じにしてみます。



以上、こんな方法もあるということで紹介しました。
この日のその他の画像(SILKYPIX Developer Studioテスト版『AJISAI』で露出や調子などを整えた画像とカメラ生成画像の比較です)は
こ ちらのリンクから閲覧することが可能です。

使用機材
α-7 Digital
SIGMA 10-20mm F4.0-5.6 EX DC
SILKYPIX(R) Developer Studio Ver2
SILKYPIX Developer Studioテスト版『SAKURA』『AJISAI』
Adobe Photoshop CS
NeatImage
ロケーション:博物館明治村
モデル:吉田由香(OFFICE KAM)


(c)2006.06.20 kuma_san
い ろいろ練習