露出とトーン

ポジフィルムで撮影したようなハイエストが粘る表現を求める人のために

これは例示ですので閲覧された方が自由に判断してください。
使用カメラはRAWデータのクリップレベルがほぼホワイトクリップに等しい特徴があります。
カメラによってはホワイトクリップより上にいくぶんのデータを持つもの(EOS 5Dの貸出機では0.48EVありました)があります。
規定通りに画像生成すると被写体の輝度変化を良く表現できます(実際にはS字強調が入っている)がハイエストライトで唐突に「白とび」を起こします。
ポジフィルムでの撮影になれている人にとってはこの現象が気になるでしょう。
その解決法として基準露出になるポイントをデータフルから3.5段(規定通りであれば2.5段である)下がったところにすることでハイエストライトに1段 の余裕を持たせ、その付近のカーブを寝せる(ニー処理)ことで唐突な白とびを防ぐことが考えられます。
今回例示したZone Hiや、キヤノンの新しい機種で採用されている「高輝度階調優先モード」(実体は高輝度階調圧縮モード)などがそれです。
FinepixのSRなどもハードを伴いますが同様の指向ですね。
α700のQ&Aの記述からは、ISO200以上の設定では2/3段の余裕をハイエストライトに圧縮している動作らしいこともわかります。
Zone Hiとの差が縮まっているため、2段の余裕を持たせたモードも新設されているようです(14bitRAWではないのでダーク部分の階調が心配ですが)。
金属質のきらめきの表現のためにはこの高輝度部分の圧縮はマイナスに働くので、そういう目的の場合はISO100とかにすればよいわけです。
以下はRAW撮影されたもので色々設定をしてみました。

・カメラオリジナル(縮小)
α-7 DigitalのZone Hi(RAW記録自体はISO125相当でカメラ内画像はISO250相当…ハイエストライト圧縮)


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0のトーン「忠実」(ISO125相当になります)
レンズ補正のうちシェーディング補正のみキャンセル、回転とデジタルシフトは適用してあります


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 Digitalエミュレーション(ISO125相当になります)


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 Digitalエミュレーションに1段のプラス補正(ISO250相当になります)


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 DigitalZoneHiのエミュレーション…露出調整+DR拡張(ISO250相当になります)
この設定だと圧縮されたハイエストの彩度が高めになるのが特徴です。


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 DigitalZoneHiのエミュレーション…ガンマとコントラストとコントラスト中心+軽めのDR拡張(ISO250相当になります)
この設定だと圧縮されたハイエストの彩度は低めになります。



1段程度のアンダー露出で撮影して上記のような設定を適用すれば、似たような結果を得られることになります。
2段程度の余裕を持って撮影して適用するために、以下の設定も作成してみました。

・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 Digitalエミュレーションに2段のプラス補正(ISO500相当になります)


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 DigitalZoneHiのエミュレーション…+1段の露出調整にガンマとコントラストとコントラスト中心+相応のDR拡張(ISO500相当になりま す)


以下はエミュレーションは無視して自由に追い込みました
・Developer Studio3.0までのDR拡張に頼ったもの
圧縮されたハイエストの彩度がちょっと強調されすぎになります


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0の覆い焼き機能を使用したもの
色の強調が押さえられ、ハイエストにもコントラストが現れます。


別のカットでも同様に例示します。
・カメラオリジナル(縮小)
α-7 DigitalのZone Hi(RAW記録自体はISO125相当でカメラ内画像はISO250相当…ハイエストライト圧縮)



・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 Digitalエミュレーション(ISO125相当になります)


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 Digitalエミュレーションに1段のプラス補正(ISO250相当になります)


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 DigitalZoneHiのエミュレーション…露出調整+DR拡張(ISO250相当になります)
この設定だと圧縮されたハイエストの彩度が高めになるのが特徴です。


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 DigitalZoneHiのエミュレーション…ガンマとコントラストとコントラスト中心+軽めのDR拡張(ISO250相当になります)
この設定だと圧縮されたハイエストの彩度は低めになります。


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 Digitalエミュレーションに2段のプラス補正(ISO500相当になります)


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0でのα-7 DigitalZoneHiのエミュレーション…+1段の露出調整にガンマとコントラストとコントラスト中心+相応のDR拡張(ISO500相当になりま す)
ハイエストライト部分はかなり階調が圧縮される(コントラストが弱い)ことは弱点です。


エミュレーションは無視して自由に追い込んだ例
・Developer Studio3.0までのDR拡張に頼ったもの
圧縮されたハイエストの彩度がちょっと強調されすぎになります


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0の覆い焼き機能を使用したもの…その1
色の強調が押さえられ、ハイエストにもコントラストが現れます。


・SILKYPIX Marin Photography Pro 3.0の覆い焼き機能を使用したもの…その2
さらに暗部を上げるためにガンマとコントラスト中心、コントラストを調整。


…覆い焼き機能を使う場合はそのマスクの選択がお任せなため個別調整の必要があります(一様な設定はちょっと無理みたいです)。
このへんはDROやアクティブDライティングも同様の問題(やってみないとわからない)です。
2007.11.11 kuma_san