カメラは平面に投影するため、被写体も撮像面に平行な平面であればかたちを崩さずに撮影できます(カメラでの複写をイメージしてください)。
実際に撮影する場合は対象は三次元の立体の世界です。
平面に投影するため、広角で撮影すると画面の端の方では球体が放射方向に引っ張られたように写ります。
これを「広角歪み」(ボリューム歪像)と呼びます。
レンズの「歪曲収差」およびあおった場合の「倒れ込み」などとは区別して欲しいです。
下は、代表的な焦点距離での画面中心からの位置における円周方向に対する放射方向の倍率を百分率でグラフ化しました。
換算焦点距離を使用してアスペクトに合わせた補助線を見ながら、人の顔が大体105%以内のところになるよう気をつけると良いと思います。
集合写真などは距離が取れる場合は標準の画角が望ましいのです。

掲載写真は例示として閲覧目的で使用してください。
二次的な利用はご遠慮下さい。



APS-Cフォーマットのカメラで35mmの焦点距離(換算約52mm)での撮影例。
いわゆる標準画角です(別途サンプリングしたデータで歪曲補正してあります)。



以下は20mmのレンズ(換算約30mm)での例です。
超までいかない、広角レンズのよく使われる画角です。
レンズ自体は樽型の歪曲を持っており、そのために広角歪みは減少しています。


上の例を別途サンプリングしたデータを元に歪曲を補正しました。
トリミング領域を広げて変形の感じがわかるようにしてあります。
放射方向に引っ張られる感じが強くなりました。


下からあおったアングルをデジタルシフトで修正。
広角歪み的には上方向に引っ張られる成分が増えます。
これに関しては「デ ジタルシフトの活用」を参照下さい。


樽型の歪曲を与えて「引っ張られる感じ」を緩和した例です。


(c)2008.12.12 kuma_san