Seminar for Bass Guitar Player


不要弦のミュートの話題

以下の文章はNifty-serveのFROCKPの4番会議室にあるベース部屋に書き込んだもの(#03855、#05173、#05243)…LIB 11 [倉庫3] 永久保存 旧ログファイルの89番と97番から入手可能です…を元に編集したものです。

多弦ベース(4弦のベースでも同じですが…)のミュートですが、演奏している弦より高音弦側は左手の指の腹で、低音弦側の最初の弦については右手の弾き終わった指が行います。
あと、右手の薬指と小指でそれぞれ2番目と3番目をミュートします。そこから先が右手の親指です。
6弦で1弦を弾いている場合は2弦は弾き終わった指(人差し指か中指)で3弦は薬指、4弦が小指で5弦と6弦の間に親指を差し込んでミュートすればOKです。
それ以外の弦を演奏する場合は弾き終わった指と薬指のミュートがダブったり、親指のミュートと小指か薬指がダブったりしますが、理解できますよね?
ちなみにわたしは5弦ベースを使用していますので、親指は5弦だけをミュートすればよいのですが…。

もう少し詳しくフィンガーピッキングの場合を説明します。
右手も左手も弦をミュートしている状態をデフォルトの初期状態として身体(指?)に覚え込ませるのが一番(考え方が)簡単な方法です。

以下に、超基本的な考え方を紹介します。ただし(フレーズによっては無駄な動きとなる場合もありますので)例外はそれぞれの自由です。

左手の場合…

(1) …親指はネックの裏側で人差し指と小指の中間の位置。親指以外の4本の指(の腹)全体で全ての弦に触れる(が弦はフレットには押さえつけられていない)。最初に楽器を構えたときにこれが出来るようにします。

(2) … 実際に演奏を始める場合は目的の弦上に親指以外の指頭を揃える。目指す音程がどの指で押さえる場合でもその4本の指は弦にのみ触れている状態で、弦はフレットには触れていない。なお、もしその弦が4弦だった場合は人差し指と小指の腹(というか指全体の内側ですね)が1-3弦に触れている状態(もちろん弦はフレットに触れていてはいけない)(なお中指と薬指は長いため指頭を他の指と揃えると、必然的に指が立った状態になります)。目的の弦が3-1弦の場合はもう類推できますね?
(3)の(e)の写真が、ちょうど2弦を目的とした場合のこの状態の写真となります。

(3) …さて、いよいよ音を出します。
今回は3弦を目的の弦としたときの写真を用意しました。

(a)目的の音が人差し指の場合…
人差し指で弦をフレットに押さえつけると同時に人差し指以外を軽く(少しだけ)弦から遠ざけます。押さえつけることにより弦が沈み込みますので、大きく遠ざける必要はありません。これより高音弦のミュートの状態((2)で書かれています)は変えない(といっても、小指は離れてしまいがちですが出来ればキープする)ことがポイントです。

(b)目的の音が中指の場合…
フレットに押さえつける指が人差し指と中指になり、遠ざける指が薬指と小指です。あとは(a)と同じ。

(c)目的の音が薬指の場合…
フレットに押さえつける指が小指以外(親指は当然除きます)になり、遠ざける指が小指です。あとは(a)と同じ。

(d)目的の音が小指の場合…
フレットに押さえつける指は親指以外の4本全部になります。遠ざける指はありませんが、それ以外は(a)と同じ。

(e)目的の音が解放の場合…
フレットに押さえつける指はありません。親指以外の4本の指全部を遠ざけるのですが、特に目的の弦より高音弦のミュートにご注意下さい。
押さえつけないので弦は沈み込んでくれません。遠ざける方向を高音弦側への移動にすると良いでしょう。

(4)… 一発音を出して止めるなら、すぐに(2)の状態に戻ります。レガートに次の音がせまっている場合は、目的の音に応じて(a)から(e)の状態に移って下さい。
これが、普段の演奏時に何も考えなくて出来ると、演奏している弦とそれより高音弦側は、必ず2ポイント以上でミュートされますのでハーモニクスにも悩まされなくなります。

右手の場合…

一応、「アポヤンド」がお勧めですが、音色の効果でこれは自由であるべきです。でも、まずミュートを身体が覚えるまでは、やっぱり「アポヤンド」かな?

人差し指と中指でピッキングするものとして整理してみます。

(5) …4弦のベースの場合で言いますと、人差し指--1弦から小指--4弦というように、全部の弦に指をかけます。そして、親指も4弦に置きましょう。最初に楽器を構えたときにこれが出来るようにします。なお、5弦の場合は親指を5弦に置きます。6弦の場合は5弦と6弦の間に親指を突っ込んで、一度に2本の弦に触れる状態にします。

写真は、演奏者と撮影者が同じ(わたしです)ですので、わかりやすいアングルでは撮影できませんでした。小指が親指の影に隠れていますが、4弦にかかっています。

(6) …実際に演奏を始める場合は目的の弦上に人差し指を移動します。必要に応じてそれ以外の指も移動します。弦の移動もあるので説明するとややこしいのですが、この段階では弾こうとする指以外の指が同じ弦上にあってはいけません(当たり前だ!次に音を出そうとしたらミュートされた音になってしまいます)。

(7) …人差し指で目的の弦にかかった指を振り抜きます。

(8) … (7)で演奏した音を止めるタイミングで次の音に対して中指(また人差し指の可能性もあります)で(6)と同じ状態に持っていきます。

さて、右手の場合はミュートしかしない指がありますので、これで説明します。

(A) …
(5)の状態(人差し指と中指はピッキングで使用しますからそれ以外の指の状態です)では、1弦と2弦を演奏することが出来ます。

写真は2弦を弾こうとしているところです。

(B) …
3弦を演奏するためには薬指を4弦に移動します。小指は5弦があればそこに移動しますがなければ宙に浮きます。3弦と2弦の間を行き来するだけならこの状態のままで良いです。1弦を弾くときは、何も考えずに(A)の状態に移れなければなりません。

写真は3弦を弾こうとしているところです。薬指と小指の位置が移動しています。ミュートはこの状態で2弦も演奏することが出来ます。

まず、この(A)(B)の状態を何度も練習するのが最初の段階としては適当ではないかと考えます。なお、4弦以降は最初に書いたとおりですので、類推してください。

以下の写真はそれぞれ4弦と5弦を弾こうとしているところです。



音を出す=ミュートを外す

とにかく、音の出ていない(つまりミュートされた)状態を初期状態とし、いつもそこに戻ると考えて下さい。
最終的には何も考えないでその状態になれば良いです。余った指などありません。

これがマスターできれば、逆にダブルストップなどの重音の演奏も楽に出きるようになります。
だって、音を出すという行為は、ミュートを外すという行為と考え方(身体が…指が覚えていいる方法)が同じになるからです。

ピックやスラップの場合は

なお、ピックを使用した場合は右手の親指の付け根を低音弦側のミュートに使用することもあります(1弦をピッキングするときなど)。が、この場合はミュートの主役は左手でしょう。
比較的長い中指と薬指を全ての弦にわたるように触れている状態を初期状態とします。
つまり、(1)の状態から人差し指と小指だけが目的の弦上に移動している状態で、間の音が必要になった場合は、中指を目的の弦上に移動し、薬指はそのまま低音弦側までミュートした状態(これでもフレットに弦を押さえつけると沈み込むからちゃんと音が鳴ります)をキープします(中指と薬指が逆になっても同じです)。
出来る限り1弦を使用しないようにすることで、問題を避けることが可能です。

スラップの場合は、左手は、ほぼピックを使用した場合と同じく左手がミュートの主役です。
でも1弦とか演奏してる場合はそれでも無理があるので右手の親指側の付け根をやっぱりミュートに使用します。

左手の例外(オクターブのオルタネイト)…

次に左手の動きの例外を考えてみます。
オクターブ(3弦と1弦)の音型の場合は、いちいち左手の親指以外の指を3弦と1弦で行き来するのはあまりにも無駄が多いので…

(9) …左手の人差し指を3弦上に、左手の小指を1弦上に置いて(弦のみに触れている状態)、中指と薬指はペタっと4本の弦全部に触れている状態を初期状態にしています(スラップと組み合わせるのも多いですからね)。
また、3弦側(2弦もスラップやピック弾きの場合は4弦もですね)を2ポイント以上でミュートするためにもこうでなくては不都合です。

(10) …さて、いよいよ音を出します。

(a) 3弦側人差し指の場合…
人差し指で弦をフレットに押さえつけます。押さえつけることにより弦が沈み込みますので、中指と薬指は大きく遠ざける必要はありません。
これより高音弦のミュートの状態は変えないこと(つまり1弦側の小指で弦をフレットに押さえつけないように…)がポイントです。
レガートにオクターブ上の音につなげる場合は、そのまま次に説明する(b)の状態に移って下さい。そうでない場合は、(9)の状態に戻します。

写真では微妙ですが、(b)の写真と比べて3弦が沈み込んでいるのがわかると思います。

(b) 1弦側小指の場合…
小指のみで弦をフレットに押さえつけます。人差し指から薬指までは(9)の状態になるように。

写真はさらに微妙ですが、(a)の写真と比べて1弦が沈み込んでいるのがわかるでしょうか?また、人差し指と薬指の状態も良く比較してください。

なお、4弦と2弦のオクターブでも同じことです。わかりますよね?

これをマスターしたあなたは、3弦(や4弦)の4F、5F、7Fとそれに対するオクターブのフレーズでのハーモニクスが残ってしまう悩みから解放されるでしょう。
ただ、この方法を持ってしても6弦のベースでは3弦と1弦のオクターブの時に中指と薬指が5弦までしか届かないのではないかと…?わたしは5弦だから良い(きわどいです。だからスラップの時は右手の親指の付け根の手のひら部分を使うことがある)のだが…。
あ、フィンガーピッキングの時は問題ないですけどね。


まとめ

今回扱った内容は、はっきり言って「即効性」はありません。しかし演奏になれてくるとかならずぶつかる問題でもあります。がんばって自分のものにしてしまいましょう。

最後に…バンドで演奏するときは今回扱ったことは考えないで曲に没頭してください。逆に言えば、何も考えなくてもピッキングの選択やミュートが完璧に出来ていることが理想なのです。

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